一品鳥とは、鶴の異称である。一品とは、いうまでもなく、品格の一等の位を意味する。青く澄み切った大空を、悠揚せまらず優雅に飛翔する鶴の貴品ある端整な姿は古来日本人の心に深く刻まれ、その長寿は千年の延命を願う吉兆として愛されてきた。また、忍耐強い日本女性のほんの暇の遊(すきび)として、手の温もりを残す折り紙の歴史もまた日本人の生活文化の中で今日まで母から子へ伝えられてきた。折り紙のうち最も親しまれてきた折鶴を近代的な意匠にして、歴史を超えて、今なお生命力を失わない名物裂の組織を借り、杉綾地の金襴に織り出した。
龍 村 光 峯 述